「世界に向けた日本意匠の発信」をモットーに、着物市場におけるプレタポルテからオートクチュールへの新市場開拓の展開を企図して、“一点一作”を顕著に表現したデザインによる高度な技術を用いた着物の商品開発を、若手技術者等を中心に行ないました。また、開発にあたっては全国染織連合会が主体となって、統一の創作テーマ「琳派模様 ~江戸から令和へ~」に基づいた意匠により、全商品が総合的・相互作用として強力にアピールできる商品群として制作にあたりました。
このたびの展示会は、「京都展」では、全国小売・流通業界を中心とした来場者を対象に開催し、つづく「東京展」では、ファッションの発信地・東京都内において、主に一般消費者を対象として開催します。
※写真は琳派をテーマに創作した作品例
琳派・光琳模様とは、江戸中期を代表する画家・尾形光琳が描いた模様ですが、一般にはその作風を踏襲した琳派およびその影響を受けた模様をも含めて言います。「光琳梅」「光琳千鳥」「光琳菊」「琳派の流水紋」など今でも和風デザインにおいて欠かせないモチーフです。
琳派の絵画は、平面的なデザインであり、描写の写実性や、遠近感といった見たままに忠実に描くという西洋絵画的な技法は、琳派では重視されません。むしろ、実物に迫る写実性とは違ったアプローチで、モチーフの印象や迫力を伝えるのが琳派の魅力です。見る者の視線を誘導し釘付けにするような琳派のデザイン性は、現代のデザインにも通じるところがあり、琳派の先駆者たちの視覚的な印象や効果の研究が、後世の我々にも受け入れられる高い芸術性を生み出したと言えるでしょう。
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